ペンギンの二度寝

アナログレコードをはじめた女。音楽や本、旅の記録

ムチノチのトリックスター

あけましておめでとうございます。
小正月も過ぎて今さらですが、ひとまず新年最初の投稿ということで…。

昨年のモットーはやってなかったことをやる!だったんですが、ここに書いていない初めてのコトで強烈な印象を受けたのが、お笑いのライブに行ったことでした。

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去年11月に行われたウーマンラッシュアワー村本大輔さんの独演会。ステージから放射されるエネルギーに圧倒され、次々繰り出されるマシンガントークに会場も爆笑の渦。終わった後は、まるで激しめロックバンドのライブ後のような爽快感。くせになるー。しまいには年末の有楽町の独演会まで参加しちゃったし。

 

そもそもの始まりは10月の衆院選のころのネット上の記事で。

www.huffingtonpost.jp


私は普段あまりTVを見ないので彼の事はよく知らなかったけど、視点や行動の起こし方が斬新で興味を持った。

 

僕らが、「自分は馬鹿だ」と言うことを自覚することから始まると思います。

「俺は知っている」という奴らがいるから、自分の無知を言いにくくなっているところがある。

お父さんが子どもに、「俺もわからないし、お前もわからないと思うから、政治の話、国の話を一緒にしてみないか」「みんなわからないから、みんな一緒に考えていこうよ」みたいなことを言わないと。政治を知ってるってウソをついてもダメです。

まさに哲学の租・ソクラテスの「無知の知」じゃないすか。


ネット上で政治の話になるととかくキツい言葉が飛び交うけど、私がその中でも良くないなあと思うのが、意見の異なる他者の人格までも攻撃することと「馬鹿か、お前そんなことも知らないのか」と罵ること。まあ政治ネタに限らずだけれども。
義務教育で教わったこともほとんど忘れてる人から専門家まで、政治や社会問題に対する知識レベルは様々。大人になるとどこまで知ってれば合格なのか…そもそもそんなラインは、あるようで無いのかもしれませんね。

 

私自身の無知をさらけ出しますと、私は経済学や金融についてはほんとに無知で。アベノミクスの「異次元の金融緩和」を理解するためには、信用創造準備預金制度などの基礎から学ばないといけなかった次第。高校でやったんだっけ? うーん記憶にございません…。

あ、ちなみにそんな基礎を理解するのに役立った本はコチラ。いろいろ勉強になりました↓

真説 経済・金融の仕組み 最近の政策論議、ここがオカシイ

真説 経済・金融の仕組み 最近の政策論議、ここがオカシイ

 

 

それですこし経済の知識がついた頃、日銀がマイナス金利政策の発表をした。中には個人の預金に適用されると勘違いする人もいるとの報道があって、私は「んなわけないじゃん〜」なんて苦笑いしたけれど、ひっそりと内なる優越感を持ってしまった自分に気付いて恥ずかしくなった。ついこないだ知ったばかりなのに何言ってんだワタシ。無知の知は紛失しやすいんだな…。

 

村本さんの話に戻ると、彼は衆院選の投票には行かなかったとTwitterで発表して炎上。その真意について上のインタビューで語っている。(ちなみに本当は投票に行っていたそうで、行ってないと言うことで人々はどんな反応をするのか実験をしたのだと後に告白している)


私は二十代前半以外の選挙はほとんど投票してきた。だから低すぎる投票率にはがっかりしつつも「私は社会人としての義務を果たしてるもんねー」というこれも密かな優越感を持っていたように思う。だけど村本さんの記事を読んだあと、私は無性に恥ずかしくなった。 

選挙の日、芸能人のツイッターをみたら「いまから投票行ってきます」「大人の証です」みたいなTweetがいっぱいありましたよね。あれを見て、どれだけの人が「私も投票にいこう」となるんだと。

やっぱり内側から変えないとダメなんですよ。(投票に)行った側の「行った」報告はいいんですよ。意識高いやつがどれだけ「勉強は大事だよ」「本は大事だよ」といったところで、本を読まないやつは読まないですよ。

正論をツイートするよりも、今回のように「行ってない」とツイートしたほうが関心を呼ぶと思うんですよね。僕と同じ人が半分近くいるわけだから。

 (中略)

――村本さんが投票に行かなかったのは、考えがあることが分かりました。でも、何も考えていない人や、面倒だとしか思っていない人も認めるんですか。
そういう人も、自分の権利というのを使ってほしいなと思いますけど、置いていきたくないです。だって、僕が政治のことを勉強しはじめたのは「たまたま」ですから。僕がお笑いやっているのもたまたま。意識高い人が、意識高いことに興味を持つって、単なる偶然なんですよ。
みんな、なんか「自分たちが勝ち得た権利」みたいな顔をして、政治の話をしてますよね。「インテリ層」になったのだって、たまたまなんですよ。その人とお笑いの話をしたら僕のほうが詳しいと思うし。海のことを漁師さんと話したら漁師さんが勝つ。

 

  (中略)

政治は、公立の学校みたいなもの。アホにも賢い奴にも「平等に教えろ」と思うんですよ。今は、国会や政治に普段から興味がある奴だけで決めている。

学校で言えば、職員室に勉強を聞きに来るやつだけの学校になってはいけない。体育館裏でタバコを吸っているやつにも、「この学校のことだから」と、しっかりと先生が言って教えてやらないと。

 

私の優越感めちゃめちゃショボかったわー。そして視点が浅かった。そもそも投票は義務じゃなくて権利なんだし。

こないだの衆院選は野党の分裂があったし、ネット上では様々なレベルでの熱い議論が交わされてるように見えた。私も今回は少々熱くなった。でも終わってみれば投票率は50%ちょい。結局いつも通り半分の人でわちゃわちゃやってただけなのか…と選挙速報を見ながら脱力してしまった。

これから国のあり方が大きく変わるかもしれない憲法改正国民投票が実施される可能性があるのに…

若い世代の投票率の低さが少子化などの問題を先送りし続けた要因だったのに…

 

このまえ池上彰さんがラジオで、"TV番組では政治を分かりやすく伝えることに努め、視聴者の皆さんがそれらの問題を深く考えるきっかけにして欲しいと思っていたけれど、どうも私の説明を聞いて理解した気になってしまって、その先を自分で考えることを阻害しているんじゃないか、と思うようになった" という感じのことを言っていた。
あの池上さんでも難儀してるのか〜、人に深く考えるきっかけを与えるってものすごく難しいことなんだなぁと思ってたところ、村本さんを思い出した。

村本さんは、かつて無関心だったころの自分のような人間にもっと政治に興味を持ってもらいたいと思って、あんなトリッキーな方法で問題提起したそう。それが成功してるのかは分からないけど、今までの知的な正攻法では届かなかった人々にもある程度、届いたんじゃないかなぁ。

さらにお笑い番組の中で社会風刺漫才を披露して大きな反響を呼び、元旦の「朝まで生テレビ」では安全保障問題について極論や明らかな間違いを含む発言をして大炎上。

 

…ほんとにもう、トリックスターじゃないですか…

kotobank.jp

 

彼の発言に対しては私も賛否両論あります。ドン引きする幼稚さを呈することもある。でも。無知の知トリックスターが繰り出す言動を長めのスパンで見ていると、整理整頓された文脈の集積で処理される前の、複雑さを抱えたままの世界の姿が見えてくる瞬間がある。これはなかなか得難い体験で、ついTwitterをのぞいてしまうんですよね。

 

 

いかんいかん、人から刺激を受けてばかりじゃなく自分も学ばねば。2018年はもっと勉強しようと決意し、電子書籍リーダーのKindle端末を購入したばかり。一年後に書く記事のレベルが向上しているよう、楽しみながら努力することを今年の目標の一つにしたく思います。

いきなり長々と書き連ねてしまいましたが、本年もよろしくお願いいたします。